はじめに
大河ドラマ「豊臣兄弟!」で主演を務め、今もっとも輝きを放っている俳優・仲野太賀さん。その演技力と人間的な魅力はすでに多くの人が知るところですが、実は仲野さんには俳優としての顔とは別に、もうひとつの大きな顔があります。
それが「旅人」としての顔です。海外一人旅を趣味とし、インド・アラスカ・モロッコ・ネパールなど世界各地を旅してきた仲野さんは、役者としての活動を通じて英語力も磨き上げており、共演者の草彅剛さんをアメリカの入国審査のピンチから救ったという伝説のエピソードまで持ち合わせています。今回は仲野太賀さんの英語力と海外経験のすべてを、詳しくご紹介します。
仲野太賀の英語力はどのくらいなのか
まず気になるのが、仲野太賀さんの英語力の実力です。結論からいうと、仲野さんはネイティブレベルには届かないものの、日常会話であれば問題なく会話できる英語力を持っています。
その英語力は学生時代から特別に英語教育を受けたわけではなく、役者としての仕事や、趣味の海外一人旅を通じて実践的に積み上げてきたものです。独学で基礎英語を学び、渡航を重ねるたびに生きた英語を身につけてきたという仲野さんの姿勢は、努力家であり行動力のある俳優の人物像をよく表しています。
特に英語力が注目されるきっかけになったのは、ドラマ「拾われた男」でのアメリカロケでした。約3週間にわたる滞在中に英語を使った演技に挑戦し、現地スタッフからも高い評価を得たことで、俳優・仲野太賀の英語力が広く認知されることになりました。
ドラマ「拾われた男」アメリカロケで英語演技に挑んだ3週間
仲野太賀さんの英語力を語る上で欠かせないのが、NHKドラマ「拾われた男」でのアメリカロケです。草彅剛さんと共演したこの作品では、舞台の一部がアメリカのミシガン州カラマズーに設定されており、仲野さんは現地での撮影に約3週間参加しました。
仲野さんはこのロケについて、「英語でお芝居をする機会もあって、それも自分にとっては挑戦でしたし、とても楽しかったんです」と語っています。「拙い英語だけど、僕のお芝居を見て、現地のスタッフも日本のスタッフも笑ってくれる状況が嬉しくて。言語は違えど、お芝居を通して繋がることができるんだと思ったし、もっと英語でお芝居してみたいと思いました」という言葉には、言語の壁を超えて表現することへの純粋な喜びが滲み出ています。
また撮影の合間にはプライベートな時間もあり、草彅さんやスタッフと食事に出かけたり、カメラ好きの仲野さんが草彅さんを被写体に写真を撮らせてもらったりと、充実した時間を過ごしたことも明かしています。
草彅剛を入国審査のピンチから救った英語の伝説エピソード
仲野太賀さんの英語力をめぐる話題のなかで、もっとも多くの人の記憶に残っているのが、草彅剛さんをアメリカの入国審査から救ったという伝説のエピソードです。
「拾われた男」のアメリカロケのため渡米した際、草彅さんは入国審査で係員に止められてしまいました。草彅さん自身が「係員の人たちが何を言ってるのか、”怪しいやつだ!”みたいな感じになっちゃったのかも分からなくて」と振り返るほど、その場は混乱した状況でした。
そのとき、すでに審査を通過していた仲野太賀さんが、わざわざ草彅さんのもとへ引き返してきて、英語で状況を係員に説明したのです。草彅さんは「そしたら太賀君が、先に審査を通過してたのに、わざわざ僕のところまで戻って来てくれて。それで、英語で何かを言ってくれたら”OK!”みたいな感じになって、助けてくれたの」と笑顔で語っています。自分が先に通過したにもかかわらず引き返して助けに来るという行動は、仲野さんの人間的な優しさと機転の良さを同時に示すエピソードとして語り継がれています。
インド一人旅から始まった「旅人・仲野太賀」のバックパッカー人生
仲野太賀さんが旅を好きになったきっかけは、写真家・阿部裕介さんとの出会いにあります。今からおよそ10年前、バックパックで一人旅をすることへの強い憧れを持っていた仲野さんは、インドで数多くの写真を撮り続けていた阿部さんと出会いました。「そのインド旅行の背中を後押ししてくれたんです。だから自分が旅を好きになったきっかけを作ってくれた人というか」と仲野さんは語っています。
阿部さんの言葉と背中に背中を押される形で、仲野さんはインドへの一人旅を決行しました。バックパッカーとして異国の地に飛び込み、言葉も文化も異なる人々と交わりながら過ごしたインドでの体験は、仲野さんの中に「旅」という永遠の趣味を根付かせることになりました。この原体験があったからこそ、その後のアラスカ・モロッコ・ネパールへと続く海外経験の旅路が生まれたといえるでしょう。
アラスカ4日間80kmを歩き続けた「地球イチ美味い酒を求めて」
仲野太賀さんの海外経験のなかでも特に語り草になっているのが、アラスカへの旅です。「地球イチ美味い酒を飲みたい」というただ一点の動機のもと、仲野さんはTVディレクターの上出遼平さんとともにアラスカのデナリ国立公園内にある「Wonder Lake(驚きの湖)」を目指して歩き続けました。
その内容は壮絶なものです。アウトドア経験がほとんどない状態で挑んだこの旅は、衣食住をすべて背負いながら電波の届かない大自然の中を総距離80キロ以上にわたって歩き続けるというものでした。4日間にわたるトレイルの途中では体力的にも精神的にもギリギリの状態に追い込まれ、夜22時でも明るいアラスカの白夜の中、野生のグリズリーが出没するリスクと向き合いながら、ひたすら前に進み続けました。
そして4日目、ついにWonder Lakeのほとりに到着した仲野さんは、持参したウイスキーを一口飲みながら「幸せとは何か」という問いに向き合いました。そのとき仲野さんが出した答えは「帰る場所があること」でした。アラスカの大地を4日間歩き続けた末に辿り着いたその言葉は、多くの視聴者の心を深く打ちました。この旅の模様はYouTubeで公開され、国内外から大きな反響を呼んでいます。
NHK「バックパッカー仲野太賀 in モロッコ」スペインから船でアフリカへ
大河ドラマ「豊臣兄弟!」の長期撮影に入る前に、仲野太賀さんが自ら旅先として選んだのがアフリカ北部の国・モロッコでした。NHKの番組として記録されたこの旅では、仲野さんはスペインの南端タリファからフェリーに乗り、ジブラルタル海峡を渡ってモロッコのタンジェへと入国するというルートを選びました。3日分の着替えだけをバックパックに詰め、宿も決めずに旅立つという、まさにバックパッカーらしいスタイルです。
旅の中では、客引きのモロッコ人をかわそうとしていたつもりが最終的にその家でおもてなしを受けるというエピソードや、フェズの迷路のような旧市街での地元ガイドとの交流など、偶然の出会いが連続するリアルな旅の様子が映し出されました。スマートフォンにも適度に頼りながら自分の感覚を信じて旅を進める仲野さんの自然体なスタイルが、多くの視聴者から共感を集めました。この番組は放送後も人気が高く、2025年にはNHKで再放送されるなどシリーズ化を望む声も多くあがっています。
MIDNIGHT PIZZA CLUB ネパール・ランタン谷の秘境に挑んだ旅
仲野太賀さんの海外経験の最新章となるのが、旅サークル「MIDNIGHT PIZZA CLUB(ミッドナイト・ピッツァ・クラブ)」の活動です。アラスカ旅で意気投合したTVディレクター・上出遼平さんと、仲野さんに旅の原体験を与えてくれた写真家・阿部裕介さん、そして仲野太賀さんの3人によって結成されたこのサークルは、多忙な3人がスケジュールを無理やりこじ開けてでも一緒に旅をするという、純粋な旅への情熱を原動力にしています。
最初の旅先として選ばれたのは、ネパール・カトマンズ北部に位置し「世界一美しい谷」とも称されるランタン谷でした。カトマンズで値段交渉や街歩きを楽しみながら現地の空気に慣れ、そこからランタン谷を目指して歩を進めるというこの旅では、仲野さんにとって初めてのネパールで様々な出会いが待ち受けていました。
現地で出会ったパサンという男の子が、国の歴史や村をまるごと消し去った災害のことを話してくれたことに、仲野さんは深く感銘を受けたといいます。「日本とはぜんぜん違う、ランタン谷で生まれ育った彼だからこその価値観や生き方に、すごく感銘を受けました」という言葉は、旅が単なる観光にとどまらず、自分自身の価値観を揺さぶる体験であることを改めて教えてくれます。この旅の記録は書籍『MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE Langtang Valley』(講談社)として2024年12月に出版され、旅好きの読者を中心に話題を集めました。
旅と演技が互いを高め合う仲野太賀の唯一無二のライフスタイル
仲野太賀さんにとって旅は単なる趣味ではなく、俳優としての感受性を磨くための大切な時間でもあります。インドからはバックパッカーとして異文化に飛び込む経験を、アメリカロケからは英語という言語を超えて人と繋がれるという確信を、アラスカからは「帰る場所があることが幸せ」という哲学を、モロッコからは偶然の出会いの豊かさを、そしてネパールからは異なる価値観と向き合う柔軟さを、それぞれの旅から仲野さんは受け取ってきました。
これらの経験はすべて、俳優・仲野太賀の演技の深みと人間的な厚みに還元されています。「本に誘われて旅に行きたいと思って生きてきた」という仲野さんの言葉が示すように、旅と表現はひとつながりにつながっています。英語力を磨きながら世界を飛び回り、現地の人々と心を通わせる。そんな仲野太賀さんの姿は、これからも多くのファンを魅了し続けることでしょう。大河ドラマ「豊臣兄弟!」英語タイトル「BROTHERS IN ARMS」として海外展開も進む今、仲野太賀という俳優の旅はまだまだ続きます。

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